Qtブログ(日本語)

Qt商用ライセンスがシンプルになりました!

作成者: Qt Group 日本オフィス|Feb 8, 2022 5:20:14 AM

このブログは「Qt commercial licensing simplified!」の抄訳です。

The Qt Companyは製品ラインナップを拡充するために、新機能の開発や新技術の獲得に多大な投資を行っています。皆様からのフィードバックでは、弊社のライセンス提供や利用規約は複雑で理解するのが難しいというお声を多くいただいていました。そこで当社は、提供する商品を合理化・簡素化することにしました。私たちの主要な目標の一つは、「弊社とのビジネスを簡単にする」ことであり、このブログ記事で説明する変更は、このゴールへの道を開くものであると信じています。

ここでは、その変更点のハイライトをご紹介します。

  • 開発者向けライセンスを、4つに集約、合理化します。
  • Qt Design Studio は、開発者ライセンスに含まれるほか、別途ご提供する予定です。
  • サブスクリプションライセンスをお持ちのお客様は、Qt開発者ライセンス失効後もアプリケーションを配布することができます。
  • 品質保証ツールは、開発者・設計者向けツールとともに、単一のQt ライセンス契約の下で提供されるようになりました。

既存のお客様のライセンスおよび現在進行中の商談は、この変更に影響されません。新しいポートフォリオとライセンスは、2022年2月1日より提供予定です。

開発者向けサービスの統合

開発者向け製品を下表のように4つの主要なライセンス・エディションに集約しシンプルにしました。上位のエディションほど、より多くの機能を含んでいます。各エディションは、オニオンアーキテクチャーライセンスで、下層のエディションの上に構築されています。

.図:商用デベロッパーライセンスをオニオン・アーキテクチャでエディションを提供。上位ライセンスは、「内側/下層」の特長と機能を含んでいます。

図のように、これまで別ライセンスで販売していた複数のアドオンを、全体として取り込んでいます。これらの商用アドオンは、M2M(マシン・ツー・マシン)プロトコル、マイクロコントローラのユーザーインターフェイスを開発するためのライブラリ、セーフティクリティカルなアプリケーション、自動車専用のもの、アプリケーション管理のための機能などを提供します。

どのような影響がありますか?

「Qt for Application Development」のサブスクリプションライセンスをお持ちの方は、「Qt for Application Development Enterprise」ライセンスに移行されます。「Qt for Device Creation」のサブスクリプションライセンスは、「Qt for Device Creation Professional」ライセンスに移行されます。上の表に示すように、新しいライセンスは、サブスクリプションライセンスをお持ちの方に追加費用なしで機能を提供し、開発者向けサービスを大幅に簡素化します。既存のライセンスは、ライセンス期間の終了時に自動更新により新バージョンに移行され、多くの新機能が Qt Maintenance ツールですぐに利用できるようになります。

各エディションに含まれる機能の詳細はこちら、価格に関する情報はこちらをご覧ください。

Qt Design Studioライセンスのアップデート

Qt Design Studio 3.0を近日中にリリースする予定です。商用ライセンスは2つのエディションで提供予定です。

  1. Qt Design Studio Professional
  2. Qt Design Studio Enterprise

Qt Design Studio Professional ライセンスは、ユーザーインターフェースのデザイン、編集、アニメーション、プロトタイプ作成のためのあらゆるツール、および 3D 用のツールを提供します。Qt Design Studio 2.3 の機能と同じですが、サードパーティツールのブリッジプラグインは含まれません。Qt Creator 6.0 またはそれ以降のバージョンを使用している開発者は、開発者ライセンスの一部としてこのツールが含まれています。

Qt Design Studio Enterprise は、テクニカルアーティストやユーザーインターフェースデザイナー向けに提供されています。Figma、Adobe XD、Sketch などの主要なグラフィックデザインツールや Maya、Modo、Blender などの 3D エレメントからデザインをインポートすることができます。今年は、さらに付加価値の高い機能を導入し、デザイナーが美しいユーザーインターフェイスを作成できるようにする予定です。

お客様の声を反映した規約の更新

製品を配布する際には有効な開発者サブスクリプションライセンスが必要であることが障壁だというフィードバックを多くいただいたので、お客様の声を反映しました。Qt ライセンスへの投資をより有効なものとしていただくために、この要件を削除することを決定しました。

従来、弊社のライセンス契約では、有効な開発者ライセンスがない場合、お客様がアプリケーションを配布することはできませんでした。これらの条件は、お客様がセキュリティやメンテナンスの問題に対処し、製品をアップデートできるようにすることを目的としていました。しかし、皆様からのフィードバックに基づき、本日リリースされた Qt ライセンス契約(バージョン 4.4)に基づいて購入されたライセンスについては、これらの制限が解除されています。ただ、現在は必須ではないものの、セキュリティ修正とソフトウェアのメンテナンスのために少なくとも 1 つの有効な開発者ライセンス契約を維持することを強く推奨しています。

また、Qtライセンス契約4.4には、他にも変更点があります。The Qt Companyの品質保証ツールを契約内容に追加しました。QAツールは、2021年のfroglogic社の買収により、Qtのポートフォリオに追加した製品です。Squish、Test Center、Cocoは、デザイナーライセンス、デベロッパーライセンスとともに、単一のライセンス契約の対象となりました。この変更は、QAツールの条件や価格には影響しませんが、契約体系をよりシンプルにするものです。

さらに、保証期間をサブスクリプション期間と一致させました。以前のバージョンのライセンス契約(バージョン 4.3.x 以前)では、Qt の保証期間は、購入したライセンス期間に関係なく 12 ヶ月に制限されていました。現在では、サブスクリプションが有効な期間、保証をご利用いただけるようになりました。

ただし、一方的に契約を変更することはできないため、契約がお済みのお客様については、自動的に新契約の条件を適用するものではありません。ライセンス契約バージョン4.4へのアップグレードについてご相談なさりたい場合は、担当のアカウントマネージャーにご連絡いただくか、お問い合わせページをご利用ください。

ポートフォリオとライセンスの簡素化によるメリット

Qt ユーザーの皆様からは、ライセンス体系や使用条件について多くのフィードバックをいただいています。弊社では製品提供の簡素化と統合に注力してきました。

この変更により、The Qt Companyが提供するサービスをより理解しやすくなり、The Qt Companyとのお取引もより容易になると考えています。既にQtをご利用くださっているお客様にとっては、より少ない種類のライセンスに機能が集約されることでメリットを得ていただけます。

簡易ポートフォリオの詳細については、商用ライセンスに関するよくある質問(FAQ)に記載されています。また、ご質問やご意見がありましたら、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです!