Qt とオープンガバナンス

この記事は Qt Labs から、Qt and Open Governance を翻訳したものです。

執筆: Thiago Macieira, Qt Development Frameworks

最後にブログを書いてから、すいぶん経ってしまいました。その時に、Qt リポジトリを Git にオープンにしてから 1年経ったことを書きました。1歳の誕生日を迎えたと、コントリビューションモデルの成長と成功をユーモラスに表現しました。いや、それを意図していたのですが...

過去 2ヶ月間 Applications and Services Framework (Nokia で Qt を担当するユニット) の中で、Qt 開発をもっとオープンな形で出来ないか多くの人たちと研究してきました。

オープンガバナンスへの変更は、これまで我々がやってきたことそのままの継続です。オープンソースは Nokia の将来に向けての取り組みの基礎です。Symbian Foundation、Intel・Linux Foundation と共同で取り組む MeeGo、そして Qt にその姿勢が特に現れています。

そして、Qt にとっては特に新しいことではありません。QPL・GPL・LGPL・スナップショット・オープンリポジトリ・コントリビューションモデル等、10年以上オープン化に取り組んできました。

昨年、コントリビューションモデルを作り、どなたでも Qt にコードを貢献できるようにしました。これを実現するためにはコントリビューターは最新の修正や各コミットにアクセスできる必要があり、リポジトリのオープン化は明らかに必要でした。Qt 及び Qt Creator への何百ものマージ要求が示す通り、オープン化は成功でした。

次のステップがオープンガバナンスで、我々が選択したモデルはオープンソースプロジェクトです。

つまり、Qt にコードを貢献するだけでなく、多くのオープンソースプロジェクトのように実際の開発プロセスや政策決定体制に関与できるようにしたいと考えました。根拠はとてもシンプルです。我々は皆さんに参加して欲しいのです。ただ1回限りのパッチを貢献するだけではなく、より深く参加して欲しいのです。

我々は、コミュニティの方々に Qt を使ってもらい、Qt をサポートしてもらい、我々と共に Qt を進化させてもらいたいと考えています。オープンガバナンスは、我々がどのくらい強くそう思っているのかを、コミュニティに示す最良の方法だと思っています。オープンガバナンスにあたり、いくつかオープン化が必要なことがあります。技術ディスカッション、ロードマップやスケジュールなど製品に影響する決定は公開する必要があります。また、何らかの方法で、コミュニティが品質保証プロセスにアクセスできる必要があります。品質保証プロセスには、テスト結果、テスト報告、カバレッジ報告、インテグレーション報告などが含まれます。

そして、政策決定体制をオープン化する必要があります。つまり、信頼できる優れていると認められたコントリビューター達が、決定に対し発言権を与えられるべきです。例えば、過去のコントリビューターの中には、いくつかのケースで Qt チームより深くコードを理解していました。「あなたは信用できるので、この貢献は良い筈だ。」と言わなければならない位のレベルにすぐに達しました。これは、我々が実施していきたい実力主義プロセスの一部分です。

それらの基本的な部分は明確ではありますが、我々がすべてに考えが及んでいるとは断言できません。そこで、あなたの出番です。我々は、オープンガバナンスを実現するためにアドバイスや支援を必要としています。我々とコミュニティの両方にとって上手くいく仕組みを考え出さなければなりません。我々は、誰もが関与できる仕組みについてのアイデアを持っていますが、さらに磨き上げていく必要があります。

という訳で、我々はこれらの議論をスタートします、みなさんと公の場で。(詳細は追ってアナウンス予定です。)

みなさんにとって上手くいく仕組みを考え出せるように、Nokia からも議論に参加する予定です。例えば、考慮すべき法務的側面があり、いくつかのアイデアが検討されています。議論が上手く進むように、我々のアイデア及び最初の提案についての詳細はすべてシェアされます。

我々は、すぐにある一定のレベルの合意に達することを期待しています。私たちが (一緒に) 上手くいくモデルを考え出したあと、そのモデルを実際に導入する迄にさらに時間がかかることをご理解下さい。導入作業が必要だったり、働き方が変わるかも知れません。チェンジは一夜にしては起きませんが、それを実現するために必要な時間は確保しています。

とりあえずは、簡単な部分から取り掛かることができると思います。

とにかく、我々がそのようにやって行くと決めたので、面白い数週間になりそうです。この数週間の議論が、平等に生産的なものであることを願っています。


Blog Topics:

Comments