Qt Creator 2.2 ベータリリース

この記事は Qt Blog の ”Qt Creator 2.2 beta release” を翻訳したものです。
執筆: Eike Ziller 2011年3月24日

クヌート (2007年3月撮影)

Qt SDK 用に Qt Creator 2.1.0 を安定化させている間でも、次のバージョンに向けて新機能の開発とバグ修正を懸命に行ってきました。全機能を実装した Qt Creator 2.2 のベータリリースを本日行えることを誇りに思います。とはいえ、このリリースの喜びは愛すべきホッキョクグマである クヌート の死によってくすんでしまいました。彼の思い出にあやかって、このリリースには "Knut Creator" のコードネームが付けられました。

Qt Creator には便利な新機能が追加され、多数の修正と改良が行われました。貢献者の皆さん、特に Bazaar バージョン管理システムのサポートを実装した Hugues Delorme とテキストエディタにマクロ機能を実装した Nicolas Arnaud-Cormos に感謝します。

Qt が決めている「標準」のファイル拡張子以外をソースやヘッダに使いたい場合があるかもしれません。Qt Creator 2.2 ではそのような場合に便利な機能として、新しい設定(環境 -> MIME Types)を追加しました。ここでは MIME 型の定義を変更したり追加したりでき、Qt Creator ではその設定に従って使用するエディタを決定します。

コードテンプレート

エディタにはコード補完時のテンプレート設定を追加しました。既に C++ と QML 向けに複数の定義がされていますし、環境設定 -> テキストエディタ -> Snippets から独自のテンプレートを追加することも出来ます。ソースコードやテキストファイルにキーワードを入力し補完するとテンプレートに展開され、それを元にコードを埋めて作成することが出来ます。

Qt Creator の利用時によく利用している他のツールがあれば、新しい "external tool" 機能が便利でしょう。そのツールの実行ファイルや引数、標準入力や出力に対する処理などを定義でき、ツール -> External にメニュー項目として追加できます。この際に、例えば編集中のファイルのパスのような "Qt Creator の変数" が利用できます。この例として以前のバージョンにあった 編集 -> 拡張 -> 外部エディタで開く は新しい仕組みに置き換えられましたし、"Sort Selection" が追加されました。もし変数やそれ以外の何らかが不足しているのであれば、気軽に提案を(バグトラッカーやメーリングリスト、IRC等で)行ってください。

デバッガツールチップデバッグに関しては全体的に改良と修正を行いました。CDB エンジンには手が加えられ、特に同じプロジェクトを連続してデバッグする場合の起動時間の改善や、Qt Creator 自身のバイナリのビット数に関係なく32ビットや64ビットアプリケーションをデバッグ出来るようにするために作り直されました。デバッグツールにツールチップはピンを刺して固定できるようになりました。Symbian デバイスでのデバッグには新たに CODA デバッグエージェント("General OS related error" がありません :) )をサポートしました。CODA を利用する方法は ドキュメント を確認してください。また、 QML と C++ を同時にデバッグできるのも大きなアップデートです。

改良点はそれだけにとどまりません。QML コードのサポートは本当の意味で全体にわたって修正と改良が行われました。ツールチェインは自由に設定でき(それは本当に大きなリファクタリングでした)、valgrind を用いたメモリチェック機能(デバッグ -> Analyzer)が Linux と Mac に統合され、GL のシェーダ言語のエディタ、プログラムのコマンドライン引数の指定時にシェルの文法に従ったクォーテーションを行い、……。

完全なリストは 変更履歴 を確認してください。もしくは、パッケージを入手 して実際に試してみましょう!


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