Qt Contributors Summit 2012 参加レポート

6月21日から3日間、ドイツのベルリンで、Qt Contributors Summit 2012 が開催されました。

昨年に引き続き 2回目の開催となった今回のサミットは、Nokia のほか、Blackberry を製造販売している Research In Motion や Ubuntu の開発元である Canonical など、様々なスポンサー の協力によって開催されました。

今年の会場はベルリン市内の Kalkscheune という場所でした。産業革命の時代にベルリンで最初に建設された工場で、その後様々な変遷を経て現在はイベントスペースやコンサート会場として利用されているそうです。

今年の会場 Kalkscheune

会場内の様子

キーノート

初日は Qt Project のチーフメンテナー Lars Knoll のキーノートで幕を開けました。
昨年の5月に Qt 5 に関する構想 を書いて以来、Qt 5 の開発が順調に進んでいること、2011年の秋に Qt Project をスタートして以来、このプロジェクトが健全に運営されていることに加え、Qt Contributors Summit 2012 の開催の直前に Nokia の大きなアナウンスがあり、Qt は Nokia の Next Billion 戦略の一部ではなくなりましたが、Qt 自体の開発はまだしばらくは続けて行くことなど、最近の Qt や今年の第3四半期にリリース予定の Qt 5 についてのまとめと、彼の考えが語られました。

セッション

キーノートが終わるといよいよイベントの本番です、Qt 自体の様々な機能やプラットフォームの対応、開発体制など、様々なトピックに関するセッションが開かれました。イベントがはじまった時点で計画されていたセッションはあまり多くはありませんでしたが、何気ない雑談からセッションが発生したり、セッションでの話し合いが時間内に終わらず、次の日に続きをするといった形でだんだんと埋まっていきました。

セッションボード

最終日のセッション

ロードマップのセッションでは、今後の Qt の方向性に関する議論が行われました。主な内容は今後サポートすべきプラットフォームについてに関する様々な検討でしたが、中には「GUI の部分はそれぞれのプラットフォームのもの(がある場合はそれ)を使用して、Qt は UI 以外の部分をクロスプラットフォームで作成できるフレームワークを目指せばいいんじゃないか?」といった面白い意見も飛び出したりと、非常に内容の濃いセッションでした。

すべてのセッションの中で、もっとも多くの参加者が集まったのが2日目の「Qt on QNX and BlackBerry」でした。Research In Motion の人と Qt の QNX ポートを担当した KDAB のエンジニアが中心となって、次世代のプラットフォーム BlackBerry 10 で新たに登場する、ネイティブアプリを簡単に作るための Qt をベースにしたフレームワーク Cascades に関する説明や質疑が行われました。

今回のイベントのセッションについては Program - Qt Contributors Summit 2012 の Wiki ページで見ることができ、セッションの内容をまとめも順次公開される予定です。また、Galerie で行われたセッションに関しては後日動画も公開予定ですので、是非チェックしてみてください。様々なセッションでの議論の続きが、Qt Project の Development メーリングリスト でも 行われています。Qt の開発に興味がある方や参加したい方は是非こちらも購読してみてください。

おわりに

Qt 5 のリリースが近づいて来ていますが、まだまだやりたいこと、やらなければならないことはたくさんあります。是非 Qt 5 をビルドして動かしてみて、色々なフィードバックをいただければと思います。もちろん、バグレポートやバグフィックスなども大歓迎です。

最後にイベントの雰囲気を感じてもらえるような写真をいくつか紹介します。

I am Qt Tシャツ

大好評だったランチ

三時のドーナツ

中庭の様子

ローカルの git レポジトリ

会場の近くを流れるシュプレー川の風景


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