医療機器のソフトウェアテストに求められる要件を理解する

この記事はUnderstand The Requirements For Medical Device Software Testingの抄訳です。

 

歩数計のようなシンプルな個人用モニタリング機器から、重症患者用生命維持装置のような医療現場での機器まで、現代のあらゆるヘルスケアにおいてテクノロジーは重要な役割を担っています。それらすべては、期待されるサービスを提供するためのソフトウェアを必要としています。そのため、メーカーは徹底して信頼性の高い医療機器ソフトウェアテストを実施することが不可欠です。

医療機器の市場は2022年には4550億ドルを超えると推定されています。さらに医療機器は個人の健康に影響を与えるため、期待通りに機能し、不用意に害を及ぼすことがないことを保証する必要があります。そのため、医療機器ソフトウェアのテスト方法に関する基準を設定する規制体制があっても、驚くことではありません。

医療機器におけるソフトウェアのテストに関する規制

医療機器にはさまざまな規格や法律がありますが、最も一般的なのは、医療機器ソフトウェアのライフサイクル要件を定義したIEC 62304です。デバイスがEUではCEマーク、米国ではFDAの認可を受け、規制が適用される市場にアクセスするためにはメーカーはこれらの規格に従わなければなりません。

医療機器とは、広義には「医療を目的とした機器」と定義されます。この中で、機器とそのソフトウェアは、ソフトウェアに関する3つのカテゴリーに分類されます。

  • クラスA:傷害や健康被害が発生する可能性がない。
  • クラスB:傷害を負う可能性があるが、重大なものではない
  • クラスC:死亡または重傷のおそれがある

予想されるように、クラスCデバイスの要件は、そのソフトウェアの不具合がもたらす結果の深刻度から、クラスAよりもはるかに厳しいものとなっています。

この規格は、開発におけるすべてのステップをカバーしています。しかし、医療機器におけるソフトウェアテストを具体的に見てみると、考慮すべきセクションは、統合および統合テストをカバーする5.6と、ソフトウェアシステムテストに関する5.7です。例えば、クラスBやCに属するものについては、ソフトウェアのテストを作成しなければならないことが記載されています。

最終的には、ソフトウェアに設定された要求事項の実装が成功したことを証明することがテストの目的とされます。

ソフトウェア更新を受ける機器については、ソフトウェア変更に伴うリスク管理をカバーするセクション7.4も考慮する必要があります。

この規格だけでなく、医療機器業界で最も広く使われている品質管理の国際規格であるISO13485も検討する必要があるかもしれません。医療機器業界では安全性と品質が非常に重要であるため、この規格への準拠は欧州の規制要件への準拠を達成するための最初のステップと見なされることが多いのです。

医療用電気機器を対象とするIEC 60601も、電気的に作動する医療機器の製造業者にとって不可欠な規格です。しかし、より複雑なソフトウェアのテスト要件を設定するのは、通常、IEC 62304規格となります。

これらすべては、地域によって異なる可能性のある、規制の検討につながります。例えば、EUではRegulation (EU) 2017/745があり、これにはソフトウェアの検証およびバリデーションに関する項目が含まれています。良いニュースとしては、上記の基準に準拠することで、さまざまな規制の枠組みを満たすためのステップも同時に実施することができるという点です。

医療機器メーカーにおけるソフトウェアテストの重要性

優れた医療機器ソフトウェアのテスト体制には、単に法的要件を満たすだけでは充分ではありません。医療機器はその用途が繊細であるため、バグの影響が患者の健康に深刻な影響を与える可能性があります。

ソフトウェアの欠陥が発見されないと、メーカーにも影響が及びます。製造された機器が信頼に足るものであるという市場からの信頼を得ることは、機器の成功にとって極めて重要であり、ひいては機器を製造する企業の業績にも影響を与えかねないのです。

それを防ぐには、機器の医療的な機能だけでなく、ユーザーに影響を与える可能性のある実用的な側面にも目を向ける必要があります。例えば、あらゆるシナリオで期待通りの機能を発揮するGUIは、優れたユーザーエクスペリエンスのために不可欠です。そして、その機能に関連するすべてのコードがテストされていることを確認することは、その機器が専門家のユーザ間においても推奨されうるかどうかの違いにつながります。

つまり、ソフトウェアのテストが、メーカーの評判をも左右するといっても過言ではないということです。

医療機器向けソフトウェアテストの自動化

開発プロセスを中断させるなどの悪影響を防ぐために、コードを迅速かつ効率的にテストする必要性があります。そのため、テストチームは、最適な医療機器ソフトウェアのテストツールは何なのかを検討していることでしょう。

手作業で膨大な時間をかけてテストをやり直すのではなく、自動テストツールを使えば、指定されたとおりにテストが実行されることを保証できます。医療分野では、テスト内容に自信と確信を持つことが重要ですが、このツールはそれを実現するのに役立ちます。その一方で、自動化されたテストによって、テストチームは手作業が必要な領域の検討により多くの時間を費やすことができるようになります。

例えば、クロスプラットフォーム、クロスデバイス、クロステクノロジーの自動GUIテストを実行できるSquishのようなツールを検討してみてはいかがでしょうか?

医療機器ソフトウェアのテストにおけるコードカバレッジ

テストチームではなく、ソフトウェア開発者にもテストに対するニーズがあります。開発者がコード上で作業をしているとき、自分がテスト済みまたは未テストのセクションのどちらで作業しているのかを理解する必要があります。また、そのような情報を得ることで、開発者にもテストに関する規制要件を満たすようなテストケースを作成するような意識が働くこともあります。

Cocoのようなコードカバレッジツールは、まさにそれを実現するものです。IDEに直接フィードバックが表示されるので、開発者は自分が作業しているコードのテスト状況を知ることができます。そのため、医療機器の開発において、例えば開発者が未テストのコードに対して変更を加えている場合、その作業に対して特に注意を払うようになるでしょう。また、カバレッジの情報は誰でも見ることができるため、コードセクションがテストされずに網の目をくぐり抜けることはありません。

また、Axivion Suite のようなツールにより、コードスメルの検出、ソフトウェアアーキテクチャのコンプライアンスチェック、ソフトウェアプロジェクトの保守性と拡張性を保つための技術的負債の回避、新機能開発のためのリソースの確保などを行うことができます。

医療機器向けソフトウェアテストツール

医療機器のソフトウェアテストは、他の分野よりもメーカーに要求されることが多いものです。強固な規制の枠組みがあるため、いくつかのステップを確実に完了する必要があります。そして、テストが不十分なソフトウェアが引き起こす可能性のある評判へのダメージにも、目を向けることが重要です。

テストの完全なコードカバレッジを保証するテスト体制を確立して維持していくことは、製品に対する信頼感を醸成するのに役立ちます。このタスクを完了するためのツールをチームに与えることで、関係者全員にとってプロセスがより簡単に、より効率的に、より信頼性の高いものにすることができます。

 

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おわりに

以上が、記事の内容となります。

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