Qt 6.2 vs. Qt 5.15 – 同等機能の比較

この投稿は「Qt 6.2 vs. Qt 5.15 – The Feature Parity Comparison」の抄訳です。
.本記事では、ソフトウェア開発プラットフォームである最新のLong Term Releases Qt 5.15とQt 6.2の比較を行いました。これらのプラットフォームは、設計、開発、および品質保証アプリケーションに加え、モジュールと呼ばれる各種のソフトウェアライブラリで構成されています。このブログ記事では、特に製品部門と研究開発部門のリーダー向けに、比較結果からわかる重要なポイントをまとめています。また、本件についてはウェビナー(英語)でも詳しくご説明する予定ですので、是非ご参加ください。


メジャーリリースの比較を示すことは重要で、今回のように、リリース時期に8年というような長い間が開いている場合ことさら重要です。Qt 5.15とQt 6.2の比較は、Qt 6.2 LTSリリースでは同等の機能が数多く確保されており、新バージョンへの移行が容易であることを示しています。Qtでは、Qt 6でも可能な限りソースの互換性を維持することに注力しました。またQtプロジェクトでは、Qtオンラインドキュメントの形式で、ソースコード移行に役立つリソースを豊富に用意しています。さらに、Qt 6への移行をサポートするプロフェッショナルサービスも提供しています。

Qt 6.2 Long-Term-Supported(LTS)リリースでは、お客様が将来的にわたり、高い生産性を持ったプラットフォームとしてQtを導入できるように、いくつかの革新的な改善が行われています。優れた次世代のユーザーエクスペリエンスを設計し、製品ポートフォリオを制限なく拡張することも可能です。Qt 6.2 LTSリリースには、高度な3D UX機能や、VulkanおよびMetalテクノロジーに対応したハードウェアアクセラレーションによるグラフィックスなど、まったく新しい機能も含まれています。またQt 6.2には、高度なグラフィックスを実現するQt Shader Toolモジュールも用意されています。

Qt 5.15 LTSリリースを構成する77のコンポーネントのうち73は、Qt 6.2 LTSでサポートしているか、Qt OpenGL モジュールのように他のコンポーネントに機能が統合されたか、Qt Scriptモジュールのように、Qt 5のサポート期間内に廃止されたかのいずれかです。

50のアドオンモジュールのうち4つはまだ含まれていません。たとえば、アプリケーション内でマップを描画するQt Locationアドオンモジュールは、ほとんど使用されてきませんでした。テキスト読み上げ機能専用のQt Speechアドオンモジュールも同様です。アドオンモジュールのQt PDFとQt Gamepadも、導入した開発者がわずかであったため、再設計されたQt 6リリースへの移植には至りませんでした。今後のロードマップ計画の参考としますので、これら4つのモジュールの使用を希望される場合は、その用途と合わせてお知らせください。Qtライセンスにより、関連するコードをQt 5ソフトウェアスタックからQt 6に組み込むことも可能です。

個々の機能やAPIレベルの比較も重要です。Qtでは、機能レベルに大きな変化があった場合には、その違いを明確に示したいと考えています(このブログの、Qt MultimediaモジュールとQt Extrasモジュールに関連する記事をご覧ください)。たとえば、Qt 5.15にはなかったクロスプラットフォーム機能を持つQt Multimediaモジュールによって、Qt 6での開発の手間が軽減される一方、一部の機能が省かれている可能性があります。またQt Multimediaモジュールには、字幕のレンダリングなど、まったく新しい機能も追加されています。また、Qt Quick 3Dなどの一部のモジュールで、メッシュモーフィングやパーティクルエフェクトなど、新しい3Dエクスペリエンスに求められる機能が強化されています。

QtプロダクトマネジメントチームではQt 6についても、顧客中心のアプローチによって、プロジェクトの成功を妨げるギャップを埋めることが目標になります。The Qt Companyはアンテナを張り巡らせて、優先事項の変化を確実に感知していきます。お尋ねになりたいことがあれば、オンラインサポートチャンネルやオープンソースコントリビューションチャンネルを通じてご連絡いただくか、弊社の担当者に直接お問い合わせください。

比較結果の詳細については、Qt 6.2の比較に関するWebページ(日本語)を参照するか、同じトピックに関するウェビナーをご覧ください。

これはQtコミュニティのメンバーとしての、私の初めてのブログ記事になりました。商用ユーザーとオープンソースユーザー、そしてもちろん、オープンソースコミュニティに感謝したいと思います。Qt 5であれQt 6であれ、オープンソースのコントリビューターがいなければ、現在のQtはなかったでしょう。

 


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