Qt Conference Tokyo 2010

12月10日に Qt Conference Tokyo 2010 を開催しました。昨年の Qt Conference Tokyo 2009 の成功を受けて、今年は東京以外にも 北京・台北・ソウル を加えた四都市で Qt Conference Asia Tour と題して開催いたしました。東京では約200名、全体では約1000名にご参加頂きました。多くの方々にご来場いただき、厚く御礼申し上げます。

私にとっても長く充実した1日は "Nokia and Qt - accelerating Qt Everywhere" というタイトルの基調講演で始まりました。Qt チームのダニエル・キールベルグより、我々の目標である Qt Everywhere について、どんな意味か、どのように努力しているのかを話しました。車載、医療、オートメーション向け組み込み機器など様々な場面で Qt が採用が増えているとし、Qt ユーザーの増加を説明しました。具体的には qt.nokia.com からの Qt ダウンロードを例に挙げ、2008年には25万未満であったが2010年には150万を超えるダウンロード数へと大幅に増加したことを報告しました。 特にアジアでの増加が顕著であるとし、日本市場においては Qt 日本語サイト へのビジター数が43%増加し、qt-labs.jp (本ページ) へは月間4000のユニークビジターが訪問していることを説明しました。また、今後については、 Nokia としての Qt エコシステム拡大についての5つのコミットメントを紹介しました。

1.  パフォーマンス及び安定性を改善し続ける

2. オープンガバナンスとコミュニティとの取り組み

3. Qt Quick による魅力的なユーザー体験の創造

4. Nokia 端末へのモバイルアプリケーションの展開

5. MeeGo の普及推進

Qt 普及に関連する部署の統括責任者が来日し日本市場に今後も注力し続けるというコミットメントも含めたプレゼンテーションにより、 Qt Everywhere という一言に込めた Qt を様々な製品・業界・地域に普及させていくとのメッセージを伝えることができたのではと考えております。 

その後、ダビッド・アルムストロムより "現在と今後の Qt について" と題し、Qt がどのような進化を遂げることを目指しているのか、また、その進化の中では特に Qt Quick が注目技術であることについて話しました。"Nth-Screens" コンセプトを紹介し、ひとつのコードをネットブック・携帯電話・デジタル家電・車載インフォエンタテイメント機器など複数のスクリーンに向けて展開できると説明し、クロスプラットフォームの開発フレームワークである Qt のメリットを強調しました。また、2010年の目玉であった Qt 4.7 の新機能について解説し、Scene Graph Project や Project Lighthouse といった Qt 4.8 以降に向けてのリサーチプロジェクトについても紹介しました。尚、このセッションの中で Validation Program という Qt の将来像について業界のキープレイヤーにアドバイスを頂いている活動をご紹介しました。世界各国を回るのですが、日本の主要ユーザー様からもご意見を頂き、このプログラムを通じて反映しております。

Netflix Inc. 下井様の講演の中では、ユーザーインターフェースがサービスの提供機会を増やす重要な鍵であるとの話の後に、Qt Webkit を使った取り組みについて、今後の改善点についてのアドバイスも交えてお話し頂きました。

株式会社ノモボク 小林様には、Qt Quick を使用した開発経験を具体例を交えお話し頂きました。開発効率が大幅に向上したとのことで、Qt Quick 開発チームの苦労が報われる内容でした。

株式会社SRA 山田様・杉田様には、"Styling Qt Widgets" 及び "Qt Creator 使いこなし術" というタイトルで、Qt オフィシャルパートナーらしく豊富な Qt 開発経験の中から、Qt をより活用する方法をお話し頂きました。

Qt Japan チームからは、Qt Labs Japan でもお馴染みの朝木・鈴木より、"Meet Qt Quick" というタイトルで、Qt Quick での開発手法についてを基礎からお話しさせて頂きました。

株式会社アイ・エス・ビー 宮崎様からは、"パフォーマンス最適化のコツ" という、これもQt オフィシャルパートナーらしい 様々な場面で役に立つ Qt 開発ノウハウについてお話し頂きました。

展示コーナーでは、Qt オフィシャルパートナー・半導体パートナーに加え、Qt 関連の開発者コミュニティの方々などにも出展して頂き、計10団体と昨年以上に充実した内容となりました。

2011年には Qt を採用した製品がさらに市場投入される予定ですので、Qt エコシステムの益々の拡大を予想しています。また、Qt 及び Qt Quick について日本語での情報発信も含め、今後も我々は様々な活動を予定しています。

今回参加していただいた皆様からアンケートにて頂いたアドバイスをもとに、来年は規模も内容もスケールアップした Qt Conference Tokyo 2011 にしなければと気の引き締まる思いです。

尚、プレゼンテーション資料及びセッション映像は近日中に弊社 WEB サイトにて公開予定ですので、お楽しみに。


Blog Topics:

Comments