BUILT WITH Qt
Clarius
スマート携帯型超音波診断装置
高い柔軟性と充実した機能を備え、
サードパーティ統合にも対応可能なフレームワーク
25%
市場投入までの時間を短縮
500時間
開発工数を削減
数千時間
AIソリューション開発で削減された作業時間
1%
ネイティブコード
(=99% は Qt のみで開発可能)
Clariusは、医療画像分野で数十年の経験を持つカナダの企業で、直感的で高解像度のワイヤレス超音波装置を提供しています。
Clariusの携帯型デバイスでは、AI を活用したスマートテクノロジーにより、スキャンがシンプルになり、精度が向上し、判断が迅速化され、結果としてよりスピーディかつ自信を持ったケアの提供を可能にしています。
Qt がどのようにして Clarius のクロスプラットフォーム開発や AI 機能の統合を支援しているのかをご紹介します。
Qt ソリューションハイライト
REST API と JSON を活用した、安全なワイヤレスデータストリーミングとクラウド接続
Clarius の AI ソリューション開発・展開を可能にする QRhi の広範な活用
超音波映像と AI 画像を統合した描画を容易にする Qt OpenGL
Qt で全て構築されたクロスプラットフォーム対応のコンパニオンアプリ
将来性を確保するための安全なソフトウェアアップデート機能
Qt を使わずにクロスプラットフォーム対応を行う場合、専任のリソースが必要になると想定すると、この2年間で約6か月の開発サイクルと、およそ500時間の開発工数を削減できたと考えています。
Kris Dikie 氏、Clarius 社の CTO
効率的なクロスプラットフォーム開発
Clarius のエコシステムは、組み込みファームウェア、Android と iOS 上で動作するモバイルアプリ、そしてストレージ・レポート作成・遠隔医療を支えるクラウドベースのプラットフォームで構成されています。モバイルアプリ開発において Clarius が Qt を採用した理由は、単一のコードベースで、多機能でありながら直感的な UI を複数のプラットフォームへ展開できる点にあります。
「アプリのコードベースのうち、ネイティブ(Java や Swift/Objective-C)で書かれているのは約1%ほどで、つまり Qt だけでほとんどのことが実現できています。」と Kris 氏は述べています。
チームは当初からフロントエンド開発に QML を活用してきました。QML は、迅速なプロトタイピング、早期のテスト、素早い反復改善を可能にするためです。直感的でレスポンシブな既製コントロールは、繰り返し発生する UX のユースケースを幅広くカバーしており、これらを採用することで開発を加速させるだけでなく、標準の状態でも高い品質を確保できます。
「QML は当社アプリのフロントエンドを 100% 担っており、すべての開発者が新しい UI コンポーネントや機能のプロトタイプ作成とテストに活用しています。」とKris 氏は述べています。
当社のアプリは 100% Qt で実装されており、すべての HMI機能を担っています。また、Wi-Fi 経由で超音波画像を受信した後に重要なアルゴリズムを処理するため、多くのコアライブラリとも連携しています。たとえば、画像補間に使用する OpenGL や、リアルタイムの AI モデル処理に用いる TensorFlow などです。
Kris Dikie 氏、Clarius 社の CTO
豊富なビルトイン機能
単一のコードベースで複数のターゲットプラットフォームへ開発できる点に加えて、Qt は UI レイヤーを超えた豊富なビルトイン機能を Clarius チームに提供しています。これには、Bluetooth や Wi-Fi などのネットワーク/接続機能、さらにはクラウド接続 などが含まれます。
「Qt に標準で備わっているクラウド接続オプションのおかげで、REST API と JSON を用いた AWS との連携を容易に実現できました。」と Kris 氏は述べています。
Qt のライブラリを幅広く活用していることに加え、サードパーティ技術との統合が可能である点も、Clarius にとって非常に高く評価されています。
「アプリとデバイス間の通信や、DICOM 画像生成のエクスポート機能を構築する際には、Boost C++ ライブラリを活用しました。」と Kris 氏は述べています。
このような柔軟性とサードパーティ統合への開放性により、Qt は AI をはじめとした最新の技術革新を取り入れ、アプリのエコシステムを拡張していく上でも非常に適したフレームワークとなっています。
QRhi を活用することで、OpenGL や各種シェーダー技術向けにプラットフォーム固有のコードを書くために必要だった、何千時間もの工数を削減できました。これにより、当社の AI デプロイが実現可能になっています。
Kris Dikie 氏、Clarius 社の CTO
スマートで効率的な超音波スキャン
現在、Clarius のデバイスは AI を活用し、スキャンをシンプルにし、精度を高め、判断をスピードアップするスマートテクノロジーを実現しています。
「Clarius では、AI の開発・学習・チューニング・デプロイまで、すべて社内で行っています。ここで Qt は、当社の AI ワークフローにおける重要な工程を支える基盤となっています。」と Kris 氏は述べています。
Clarius のチームは、スマートヘルス向け AI ソリューションの開発とデプロイにおいて、QRhi を広範に活用しています。QRhi(Qt Rendering Hardware Interface)は、OpenGL、Vulkan、Metal、Direct3D などの 3D API を扱う Qt の内部グラフィックス抽象レイヤーです。基盤となるグラフィックス API を抽象化することで、QRhi はプラットフォーム固有のコードを書くことなく、複数の GPU バックエンドを活用できるようにします。プラットフォームごとのシェーダーコードの作成は複雑かつ時間のかかる作業であり、Qt を使用することで削減された工数は数千時間規模にのぼると推定されています。
具体的には、Qt は UI とレンダリングのフレームワークとして機能し、超音波画像のフィードと AI のオーバーレイを、画面上でどのように統合して表示するかを管理しています。
「Qt は、AI 画像をレンダリングし、超音波画像の上に重ねたり、並べて表示したりする出力を行っています。私たちは OpenGL とシェーダーコードを利用していますが、Qt はこれらの技術とスムーズに統合され、シームレスなインターフェースを実現してくれます。」と Kris 氏は述べています。
さらに、Qt の接続性ライブラリにより、クラウドに保存された AI モデルへ安全にアクセスすることができます。
「Qt フレームワークのネットワークモジュールやクラスを利用して、クラウド上の AI モデルをセキュアな REST API 経由でダウンロードしています。」と Kris 氏は述べています。
私たちは最近、低コストの超音波診断装置を発展途上国に普及させることを目的とした新プロジェクトにおいて、ゲイツ財団から開発助成金を授与されました。
このプロジェクトの一環として、新しい低価格の超音波装置と連携するためのカスタムアプリを開発しています。
ここで Qt のモジュール性が大きな役割を果たします。コードベースのコアとなるビルディングブロックを新アプリへ移植しつつ、UI をシンプルかつ直感的に保つことができるためです。
Kris Dikie 氏、Clarius 社の CTO
Clarius社について
Clarius は 2016 年 12 月に初のワイヤレス携帯型超音波スキャナーを発売しました。
それ以来、累計 4 万台以上を販売し、1,000 万回を超えるスキャンを実施しています。
次世代製品は、より小型で、顧客からのフィードバックと技術の進化により、さらに優れた性能を実現しています。
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